人魚姫の涙~先生への想い~


メールでゆきから『もう家出たよ~』ってきた。


私もそろそろ駅行かなくちゃ・・・。



机の上に置かれたお金を・・・仕方なくお財布に入れて、家を出た。




空は真っ青に晴れていて、気持ちいい。



頑張ろう。


先生、見ててね。



私ちゃんと頑張るから



いっぱいいっぱい拍手してね。






「あ、きたきた!おはよ~!!」



駅の前で待つゆきが元気そうでほっとした。



他愛のない話をしながら、ふたつ先の駅まで電車に乗る。



「晴香、頑張ってね!応援してるから」


「うん!頑張る頑張る。失敗しないといいなぁ」



「平気だよ。・・・ほら、えっと、先生も・・・見ててくれるじゃん!」



戸惑いながら私の肩を叩いて笑ったゆきを見た瞬間、少しめまいがした。



なんで、ちょっと迷いながら言ったんだろう。



無理して言ってるみたいだよ。




そんなことまるで気がついていないように振舞う私は、手に汗をかいてた。



ココロの中に『どうして?』や『なんで?』が増えてく。





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