人魚姫の涙~先生への想い~



電車を降りて、会場まで歩く道に時々立っている先生達を見て、ドキッとした。



先生はどこに立ってるのかな。


「先生どこにいるんだろ・・・挨拶できるかなぁ」


そんなことをつぶやきながら、きょろきょろする私をゆきは優しく見守る。



「できるできる!私も探すし」



信号を待つ間も、なんだかもどかしかった。


早く先生に会いたくて・・・右やら左やら、もしかしたら見落としたかもしれないと後ろを見たりしてた。




おはようって言って・・・


今日頑張れよって、言ってくれるかな。




先生の笑顔見れれば、なんだって出来る気がする。


隣で空を見たり、前を行き交う車の向こう側を背伸びして見たりしているゆき。


ゆきもきっと・・・会いたいんだ。








「ねぇゆき、ピアノ弾いてるとき・・・」









信号がいつの間にか青になって、向こう側がよく見えた。


ゆきはその瞬間、私の腕を引っ張って



「・・・晴香、先生だよ!」



って、言ってくれた。





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