brother
おとうと。
「美羚ちゃん☆」

なんのへんてつのないあたしの生活。

そんなある日あたしの家に転がり込んできたのは三つ下の美少年。

佐藤仁。

一週間前。

「福井さん!お電話です!!」

あたしは二十歳を過ぎて一流の企業にコネ入社。

まぁ…学歴はあるほう。

身長は小さくて高校生に間違われるくらい顔が幼い。

胸は…小さい。

まったく持って女気なんてないあたしの性格。
そのため彼氏は20年間いない。

まぁあまり欲がないのも確か。
もう独身でも良い自分がいる。

「はい!お電話変わりました。福井です。」

あたしはキャリアウーマンってわけでもなくて…

でも人には頼れない。
頼らないって人を寄せ付けないようにしてたんだ。

なんとなく形だけでも…かっこいい女でいたくて。

そんなある日。

タンタン…

暗い夜道にあたしのパンプスの音が響く。

街灯はチカチカと今にも消えそう。

ヒューと風が吹くと寒くなる。

マンションに入ると、
見知らぬ女の人にすれ違った。

思わず後ろを振り返ったが…もう居なかった。
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