brother
「今日からは上司と部下じゃなくて…彼女と彼氏だからな。」
彼氏。
なんて何年振りだろう。
ウキウキしてしまう。
だけど…先輩とあたしの関係は長くはつづかなかった。
「福井さんちょっと…」
同僚に呼ばれて席を立った。
同僚に連れられて女子トイレ…ってまるで高校生のイジメ?
「神崎先輩と付き合い始めたんでしょ?」
このときはまだ付き合い始めて一週間くらい。
人気のある神崎先輩の噂はすぐ広まった。
「まぁ…」
「別れてよ。あたしのお父さんに言えばあんたなんてすぐクビになるのよ?」
クビ!?
ってか何でそんな話になるわけ…この人神崎先輩が好きなんだ。
「はいはい別れますなんて言えるわけないでしょ?なっとくする説明をしてもらうまでは引き下がりません。」
美羚は堂々と女子トイレを出た。
後ろからはちいさく…付き合ってないんじゃないと聞こえた。
付き合ってることは事実。
だけど一回もまだデートしていない。
まぁ先輩も仕事で忙しいんだよきっと。
美羚は足を速めた。