brother
「福井?」
早めの電車はいつもよりゆったりとしていてラッシュに乗っている時より気分が安らいだ気がした。
「え?神崎先輩!?」
「相変わらず背が小さいなぁ?」
「す…すいません。」
神崎 直人先輩。あたしの会社の部長。
「まぁいきなり福井がでかくなったら困るがな。」
「はぃ…」
神崎先輩は同僚の人達からもモテてるほどの人。
収入…スタイル…学歴…全てにおいて花丸がつく。
そしてあたしも神崎先輩には憧れを持っている。
「じゃあな。今日は出張なんで!」
神崎先輩はあたしよりも早く降りた。
あたしは人前で笑えない…泣けない…。
なんでだか分からないけど感情表現がうまくできない。
だけど…今日のは論外。