青の微熱
精一杯の力を振り絞り
羽根をバタつかせて
飛ぼうとするそのトビ色の
けなげな背中は
ゴールに向かって
高く高くジャンプする
トビの姿を思い出させた。


私はその蝉を拾い上げ
そっと草むらに返した。

この蝉ももうじき抜け殻になり
生まれ変わる・・・


「よかったね!
茶織ちゃんが家に来てくれて
純もさぞかし嬉しいでしょう?」


お母さんが言った。

うちの両親が
深々と頭を下げた。


やっぱり、トビと私は
繋がっていたんだね・・・


あらゆる空間を越えて
繋がる魂だったと思う。


だから、貴方は
ここに生まれた。

そう信じていてもいい・・・?


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