今日も君が笑顔でいられますように
「満月、早くしなさい。私、会社に行かなきゃいけないんだから。」
満月(みつき)は母方の祖父がつけてくれた名前だ。
満月のように、温かく人の心を照らしてあげられるような人になってほしいからこの名前をつけたらしい。
まぁ、今の私では心に陰を作ってしまうことはあっても、温かくするなんて無理だろうけど。
でも私は、じーちゃんがつけてくれたこの名前が好きだったりする。
いつかそんな人になれたらいいななんて思ったりもする。
いつになるからわからないけど。
「満月、いい加減にして。いったい、いつまで顔を洗ってるつもりなの?自分のことばかりじゃなくて少しは私のことも考えてよ」
まだ、顔を洗っていた私にお母さんが怒鳴る。
だから、一人で大丈夫だと言ったのに。
心配しているわけじゃないのだろう。
だだ、自分はちゃんと母親をしていると自分で思い込みたいだけなのだろう。
だいたい、お兄ちゃんや京香の前では自分のことをお母さんと呼ぶくせに私の前では私と言う。
本人に自覚があるかは知らないが、心のどこかで私のことを娘だと思いたくない気持ちがあるのだろう。
馬鹿らしいと思いながらも、心のどこかで悲しいと思う自分がいる。
高校生にもなって何言ってるんだと思われるかもしれないけど、
毎晩枕を濡らすこともなくなったけど
私が全部悪いんだって解ってるけど
でも、ちょっとだけ悲しい。