今日も君が笑顔でいられますように




そう言うとまたあなたは太陽みたいに笑う。


「帰ろっか」


そういって私の手をとって歩き出す。


あ、と小さく呟いて、急にさくちゃんが立ち止まる。


「どうしたの?」


さくちゃんはただ黙って空を指差す。


そこには満月が浮かんでいた。


「今日は満月だ」


隣でさくちゃんが小さく、小さく呟く。


「綺麗だね」


私の言葉には返事をしないで、さくちゃんは私の名前を呼ぶ。


隣を見たとき、さくちゃんの顔は凄く近かった。


触れるだけのキスをする。


初めてのキスはちょっとだけしょっぱかった。



「なぁ、満月。ずっと一緒にいような」


はにかんださくちゃんの顔は少しだけ赤かった。


そんなさくちゃんも愛おしい。




それから手を繋いで帰った。





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