今日も君が笑顔でいられますように
じーちゃんの家に着くとゆっくりした。
あーぁ、疲れた。
やっぱり、ずっと電車に乗っているだけだったけと、疲れた。
今日はゆっくりしよう。
じーちゃんの家のお風呂は広いから、ゆっくり入れそうだ。
「ただいま」
「お邪魔します」
さくちゃんに続いて私も一言言って家の中に入る。
「なんだか他人行儀だなぁ」
お邪魔します、と言ったことが気に入らなかったのだろうか。
さくちゃんがちょっと不機嫌そうな顔をしていた。
そんなこと言ったって、私の家じゃないんだし。
自分の家じゃないのに、ただいま。と言うのはおかしいだろ。
「え、でも…」
戸惑って私が答えを濁すとさくちゃんは笑った。
「満月だって大事な家族だろ。ただいまでいいじゃん」
あ、ほらまた寂しそうに笑う。
さくちゃん、いつからそんな風に笑うようになったの?
前みたいに笑ってよ。
「ほら、満月」
「ただいま」
さくちゃんが急かすから仕方なく私は言った。
ちょっと恥ずかしくて小さな声だったけど、さくちゃんは嬉しそうだった。