キケンなかおり
2人の驚き様からいって、おそらく大志くんはこんなことを滅多に.....いや、あるいは全くしないんだろう


あたしはまだ付き合いが浅いからわかんないけど、でもあたしの中での大志くんの印象はとても優しくて気配りが出来る人



怒ったとこなんか見たことないし、仏様みたいにいつも笑顔でいるからこんな行動するなんてあたしも思ってもみなかった



「大志くん...?」


ずっと俯いている大志くんに声をかけてみた


すると大志くんは顔を上げていつものような笑顔で


「すみません。僕の弟が...」


って言っていたけど、その笑顔はなんだかぎこちなかった


「否....それより大志くんの方が大丈夫?俺のことはいいから...」


たぶん勢いに任せて慣れないことをしたからちょっと気が動揺しているんだと思う



でも、それにしてはちょっと酷いな



よく見ると額に汗をかいていた


「環...ちょっとごめん」



大志くんに触れようとしたあたしの手を心が掴んでいた



「何?どうしたの?」


手を掴まれた意味がわからないあたしは心に尋ねた



「ちょっと軽い発作をおこしかけている...


だから下手に触ったらダメだ」



えっ?大志くんが発作??


あたしはいつも元気な大志くんの突然の出来事に頭が働かなくなった


「ちょっと俺、森兄を保健室まで運んでくる...」


そういって大志くんと一緒に心は生徒会室を出ていった




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