キケンなかおり

｢なんで発作...?｣




未だに理解できないあたしに大希が答えた




｢大志は昔、アイツに虐待されてたんだ...｣


｢虐待?｣


サッチーが眉をひそめながら大希に聞いた


｢そう、毎日のように叩かれてた｡だからさっき僕を叩いたことで過去をﾌﾗｯｼｭﾊﾞｯｸしてしまったんだと思う...｣



｢アイツって誰!?｣



そうあたしがといかけると、大希は一瞬言うのをためらっていたが重い口を開いて言った



｢母親｣



と.....｡





大希の話によれば、母親は大志くんが片目だけ青いことを気味悪がっていたのだという


父親の前だけでは仲良いふりをしていたが、父親が家にいなくなったら態度を変えるそんな毎日



最初は言葉の暴力



気味が悪いだの、一緒にいたくないだの、お前はわたしの子供ではないだの、小さい頃から大志くんにそんなことを言っていたらしい


でもある頃からエスカレートして暴力が始まった



何かと文句をつけ、毎日虐待していた


でもある日虐待が父親にばれて離婚


２人とも父親に引き取られた



それが森兄弟が五歳の頃の出来事


いくら昔のこととはいえ、子供っていうのは記憶力がすごい


人間は誰だって嫌な出来事は結構いつまでも覚えているもんだ



毎日されていたとなると体が覚えている.....


言葉の暴力だって大志くんのココロの中にずっと残っている





子供の頃だから大人になったら忘れるだなんて....そんなはずはない



.