飛翔-KODOU-
仕事の帰りには毎日パチンコ、女癖も悪く、死んだって母ちゃんに申し訳の立たない事ばかりやっているのも気に入らない。

『兄ちゃん、ご飯』

利芳が部屋のドアを開けて、俺を呼んだ。それにも返事は返したくない。利芳は夕方の俺との出来事を忘れたかのように穏やかだ。所詮、荒れているのは俺だけか……。そう思っていた時、携帯が鳴った。画面に'威風'と表示されている。

『おう、どうした??』

電話の向こうから、パチンコ屋の騒がしい喧騒と、威風の声がした。

威風は、俺の親友である。小学生の頃からの付き合いで、同じギャングチームに所属して共に荒れてきた同朋でもある。

『壱護、今何してんのや』

『別に…部屋でゴロゴロしとぉわい』

『お前、もう飯食ったか』

『まだじゃ』

『そんじゃ今から飯行こうや。紹介したい女もおるしな!!!』

『女ぁ!?』

一気にテンションが上がった。

『分かった!!行く!!行きます!!どこ集合??』

慌てて部屋着からGパンな履き替えながら聞きかえすと、家の近くのコンビニ集合だと言われて電話を切った。

一通りの準備を済ませて、階段を降りていくと台所で父ちゃんと利芳が2人で飯を食っていた。

『兄ちゃん、ご飯は??』

『いい。威風と食いにいく』
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