ファースト*ラブ
喧嘩が終わった後、担任が入ってきて
2学期始めてのHRが行われた。
私たちの担任は24歳の若い男の先生。
顔はカッコイイから女生徒からは密かな人気がある。
「みんな、おはよう。夏休みはどうだった?充実したものだったか?そこで夏休みの振り返りと新学期の目標をこの紙に書いて、提出な!」
ひらひらと紙を振りまわりながら先生がそう言う。
先生はかっこいいんだけど、話が速い……
それにしても振り返りって…めんどくさいなぁ。
私は違うけど、他の女子は先生を見つめてる。彼氏がいるミユウと咲子も面食いだからね…。
「ふわぁあ…」
隣の席から大きな欠伸の声が聞こえた。
私の隣に座っているのは…
「ふわぁあ…欠伸、うつさないでよ!あんたのがうつるとか嫌だからね!」
バスケ馬鹿こと、木村巧(キムラタクミ)
私はバスケ馬鹿とも呼ぶし、木村とも呼ぶ。
でも大半は木村のほうが多いかも。
めんどいときはバスケ馬鹿。
「ほんと、あんたのこと、嫌い」
木村を睨みながら私は小さく呟いた。
私は全然、素直じゃない…
欠伸がうつるほど、傍にいるってことなのに。
私にとっては嬉しい事なのに。
嫌とかなんで言っちゃうんだろう?
ホント・・・木村は余裕だよ。鈍感め・・・
「うつしたくて、うつしてないし。てかお前だって眠いんだろ?目がパンダになってるぞ」
「…はい?パンダ?」
「だってお前、『クマ』すんげぇもん」
そう言ってバスケ馬鹿の木村は私を見下しながらそう言った。
朝、ミユウが戸惑っていたのは
このクマ…だったのね…
私は机に向かって大きな溜息を吹きかけた。