ファースト*ラブ
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長いHRも終わり、始業式も終わった。
そして4時間目のチャイムが鳴り終わり、
私たちは帰る支度をしていたのだ。
「ミユウ、咲子、一緒に帰ろう!」
二人を呼び止めて帰りを誘った。
だけれど一瞬にして二人の顔は曇っていた。
「ごめん。小夜。あたし、龍と帰るの…」
申し訳なさそうに咲子が言う。
龍(リュウ)とは咲子の初彼の名前。
「そっか…。ミユウも生徒会長と帰るんだよね?」
私がミユウに問いかけるとコクンと頷いた。
二人とも…彼氏できちゃったからね…
私は心の底でハァと溜息をついた。
あぁ…あの頃の時代は何だったんだろ?
ミユウも咲子も男子に憧れていた、あの頃は。
もう二人とも、彼氏にしか目がないし。
(私だけかぁ~。一人で帰るの)
私はそんな事を考えながら教室を後にした。
二人とは、校庭の近くで別れた。
私はとぼとぼと道を歩いていた。
「一人…とか。ナイわ、まじで。高2で彼氏なしってやばいのかなぁ~?」
「さぁ~?やばいんじゃないのー?」
「―…さらっと言わないでよ…って木村!?」
いつの間にか私の隣には木村が歩いていた。
友達とでも遊んでいたんだか、首筋には汗が流れてる。
「ていうか…いつからそこにいたわけ!?」
「え?10秒くらい前くらい」
と木村は平然とした涼しい顔で答えた。
「ていうかさ~お前くらいだぜ。」
「は?何がよ?」
私が切れ気味で言ってみると木村が少し焦りながら言った。
「…だから彼氏いないの、お前くらいって話」