Drop Piece
「何してんのー?」
「!」
利央の声が姿は見えないのに響き渡る。
「は?誰だよ!」
「ふふ、わかんないの?」
……利央?
「この声さっきの…っ」
「またお前かよ!いーよ!あんたも一緒に男の相手するっ?」
「それは無理かなぁ」
いくら周りを見渡しても利央、ましてやリコの姿はない。
「何、隠れてんのよ!出てきたらっ!!」
ヒステリックな先輩の声がキンキンと響いて、憎々しげな顔で辺りを落ち着きなく見回す。
「えー、でていーの?」
「はぁっ!?あんたふ…ざけ…」
屋上の入り口付近にあるタンクの上に人影が現れる。
「な…っ、あ…ぁ」
それは、さっきみたいに白いぶかぶかのセーターを着て短いスカートを履いた美少女リコなんかじゃなくて。
「出てきたら、って言ったのそっちだからねー?」
茶色いふわふわの髪を風に揺らしながら優しく、悪戯っぽく微笑む。
…いつもの利央だった。