Drop Piece



「いちる」


静かに馬鹿が口を開く。



「あたしたちの仕事って限界がないんだよ。努力すればするほどすごいものが出来上がる」


まるで自分に言い聞かせるかのように意志のこもったその言葉に身体が反応してビリビリとする。


あぁ、これだ。こうゆう考えを持ってる奴と仕事したかったんだ、俺。


自分がどう映るか、そんなのじゃなくて自分がどれだけその仕事に挑戦できるか。

そうゆう奴と、そうゆう女と演技をしてみたかった。


改めて、こいつと他の女たちが全然違うのが確認できた。



「だから、あたしはどんなに大変でも精一杯頑張りたいの」


そう言って、顔を上げてにっこり微笑んだ。


「……無理、すんなよな」

「いいいいいいちるが優しい!明日は嵐だねっ!」

「無理して生のとき失敗しやがれ」

「ちょっと!不吉なこと言わないでっ」



結局何してっかは言わなかったけど、大丈夫そうだし。

楽屋に戻るあいつの背中に少しだけ安堵の溜め息をもらす。


「……無理しすぎんなよ、ばーか」




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