Drop Piece
そして、電波ジャックの当日――初回が放送される当日となったわけだけど、なぜか俺はあの馬鹿にモーニングコールを頼まれていた。
『は?マネージャーにやってもらえよ』
『松井さんに子供じゃないから起きれるって言っちゃったのぉぉぉぉ!』
『…………』
『わ!なにその、いらん意地張りやがって馬鹿じゃねえの!的な目は!』
『馬鹿を馬鹿と呼んで何が悪ぃんだよ、ばーか』
『っ!とにかくおねがいっ!!』
そんで断るタイミングを失った俺はする羽目になったわけ。
窓の外の空はまだ暗い。
……当たり前か、まだ3時半だしな。つーか、一時間も寝れてねぇ。俺だって低血圧だから朝、強くねぇんだよ…。
携帯を開いて、マネージャーからの迎えのメールを読んで、仕方なく電話帳で検索した。
2、3度目かのコール音のあとに「ふわい」と何とも間抜けな声が響く。
溜め息をついて、バスルームに向かいながら呼び掛ける。
「さっさと起きろよ、寝惚けたお前と生とか勘弁だから」
『んー』
蛇口をひねり熱いお湯が勢いよくでる。
『ザーザー…何の…おと…?』
「シャワーだよ、これから浴びっから、もう切りてえんだけど」
俺が遅れんだろ。