Drop Piece
寂しさを含んだあいつの声が妙に頭に残る。
「おい」
『っし!完全覚醒したよ!また、あとでねっ!』
いつもどおり振る舞おうとしたのか、わからないけど無理をしてるのがまるわかりだった。
虚しい電子音を聞きながら「まるわかり…なんだよ、ばーか」と呟いた。
「はい!とゆうことで今日は、今夜9時スタートの【Last Wing】から白羽壱流さんと高崎光さんにお越しいただきましたー!」
軽快な音楽と共に登場すると出演者たちに快く迎え入れられる。
「こんにちはー!」
「こんにちは」
いつもどおりの馬鹿を横目でちらり、と見ながら会話を続ける。
「今をときめくふたりですからね!かなり注目されてるんじゃないでしょうか?」
「ときめいてるらしいですよ?壱流くん」
呼び捨てだと「いちる」なのに、君付けだと「壱流」になってる。
別に……いいけど。
「そうゆう振りはいらないです」
「ちょ!なにそ……っ!」
「出演者、スタッフ一丸となって作ってる作品ですからそのご期待に応えられれば、と」
「え、シカト!?」
馬鹿に向けて舌をだしてやった。
そうすると、周りは爆笑の渦。