Drop Piece
「仲がいいんですねー!」
にこやかに笑いかける女のキャスターに滅多にしないアイドルスマイルを送ってやった。
視界に入った、くらり、とよろめいてる姿は計算通り。
「俺は楽しくやってますけど、光ちゃんがどうかは、知らないです」
光ちゃんとか初めて呼んだんだけど。
「あの、壱流くん?さっきからのイジメはどうゆうことで…」
「初回の見所は…」
「聞いてええええ!」
ドラマの見所を話し、いくつか質問を受けた。
「お互いの印象は?」
「印象ですかー…んー、難しいなぁ」
馬鹿が隣でウンウン呻いている。
まあ、確かに第一印象は最悪だったし?言えねえしな、んなこと。
「あんま、よくなかったですね!」
言うのかよ。
出演者たちの顔に焦りの色が浮かぶ。
「高崎さ…」
「でも、今は大好きですよ!ん?違うか…あれ、違わない?」
「ぶ」
いきなり吹き出した俺を目を丸くして見る。
「どうし…」
「こんなヤツなんですよ、現場でも」
媚びないし、素直すぎるし。
女優として生きていくために必要になってくるであろう物をどこかに忘れてきた。
…そんなヤツ。
「一緒に芝居ができて、良かったと思えますね」