Drop Piece



「やーっ、さっきの嬉しかったよ!!いちるっ」

「調子に乗んな、ばーか」

「乗ーるーとーも」


うざい、って目で見てもニヤニヤ笑いかけられる。

くそ、余計なこと言わなきゃよかった。


電波ジャックの一発目が終わり、次の番組までの間、雑誌の取材が入っていた。



横目で、ちらりと馬鹿を見ると加湿器の準備をしていた。


「喉、いてえのかよ」

「違うよ!声、痛めないように!いちるも歌番組とかあるんだから気を付けた方がいいでしょ」

「よく、知ってんな」

「!!」


馬鹿が明らか、失言した!みたいな顔をして焦り出した。



「………きょきょきょ今日は天気がいいねえっ!」

「曇りだけど」

「………」


ぎこちなく、「コーヒー買ってくるっ」と出ていくのを無言で見送った。



あいつ、コーヒー飲めねぇだろ…。



あの馬鹿が何かを隠してるのは一目瞭然で。



「歌番組?」



その後、馬鹿が戻ってきても(案の定コーヒーは買っていなかった)見事に話を逸らし結局わからずじまいだった。



< 187 / 340 >

この作品をシェア

pagetop