Drop Piece
「やーっ、さっきの嬉しかったよ!!いちるっ」
「調子に乗んな、ばーか」
「乗ーるーとーも」
うざい、って目で見てもニヤニヤ笑いかけられる。
くそ、余計なこと言わなきゃよかった。
電波ジャックの一発目が終わり、次の番組までの間、雑誌の取材が入っていた。
横目で、ちらりと馬鹿を見ると加湿器の準備をしていた。
「喉、いてえのかよ」
「違うよ!声、痛めないように!いちるも歌番組とかあるんだから気を付けた方がいいでしょ」
「よく、知ってんな」
「!!」
馬鹿が明らか、失言した!みたいな顔をして焦り出した。
「………きょきょきょ今日は天気がいいねえっ!」
「曇りだけど」
「………」
ぎこちなく、「コーヒー買ってくるっ」と出ていくのを無言で見送った。
あいつ、コーヒー飲めねぇだろ…。
あの馬鹿が何かを隠してるのは一目瞭然で。
「歌番組?」
その後、馬鹿が戻ってきても(案の定コーヒーは買っていなかった)見事に話を逸らし結局わからずじまいだった。