Drop Piece



「は?」

「お願いっ!出して!」


その必死な顔に仕方なく出してやる。


「ありがと!」

そう言って、またイヤホンを付けた。



……なんだ?



「おい」

「白羽さーん、高崎さーん、よろしくお願いしまーす!」


仕方なく疑問を抱いたままの本番となった。












……くそ、あいつ早ぇよ。


さっきのことが気になって問いただしてやろうと思ったら終わった途端に挨拶して全速力で帰っていきやがった。



ため息を溢し、楽屋に戻ると何故か秋山のおっさんがソファーに座って差し入れのケーキを食べていた。


はい……?神出鬼没すきだて読めねえよ。


さっきから理解に苦しむことばかりで頭が正常に働かない。



「おや、壱流くん。ジャックお疲れさまだね」

「……待ち合わせ、店で8時じゃありませんでしたか?」



只今、7時8分なんですが。おい。



「いや、早めに仕事が終わったから、迎えに来たよ!」



そして、俺はこの直後、腹黒脚本家のおっさんに拉致されることになった。



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