Drop Piece
そのあと、音合わせをしていたらいつの間にか意識を失っていた。
「………ん」
携帯のバイブ音によって引き戻される意識はまだ朦朧としていた。
ソファに座りながら寝てしまったらしい俺の横にはまだ夢の中を旅してるであろう馬鹿。
時間を見ると、8時半。この後は、ライブの打ち合わせ。
ま、…こっから近ぇし。
「つーか、こいつ起こしといた方がいいのか?」
でも、まだ仕事まで時間あるし……だけどこの爆睡状態を見るとちゃんと起きるかわからない…。
起こさないように馬鹿をソファに横たえて身支度だけ始める。
一応、置き手紙ぐらい残しとこうと思ってソファの近くで適当に書いていたら、服の裾をきゅ、と握られる。
「……ん、……いち…る……」
すぴー、と寝息をたてながら漏れたその言葉に少し表情を和らげる。
「お疲れ、
馬鹿光」
くしゃり、と頭を撫でてやりスタジオを出た。
携帯を操作し、電話をかける。
「あ、晴翔?……は?意味わかんねえ。良いことなんて別にねえよ。…声が優しい?耳、おかしいんじゃねーの」
夢から覚めた君に
糖分多めのコーヒーと
『涎、垂れてたぞ。ばーか。
…行ってくる』
微糖なメッセージ。