Drop Piece
そのブランドがメディアに解禁されるのは2週間先だし、まだ忙しくはならねえはず。
手元には台本とライブの資料にSHIZUKAの資料。
…次、いつ家に帰れっかな。
「あっ!光だ」
利央が驚嘆の声を上げ、テレビを指差す。思わず、視線を向けてしまった。
「……」
「化粧品のCM?光、すっげ大人っぽくね?」
軽くリップを塗って色付いた唇を妖艶に上げ、草原に寝転びながらこちらを見上げる作りになっている。
「ちょ…何かキタ…」
「…晴、きもちわるい」
「りゅ…琉飛だってドキッとしただろ!?」
「…あと、みかんのマスコットがあれば……完璧」
「……」
俺は、ただ既に変わってしまったテレビの画面を見詰めていた。
「…光、ほんと注目されまくりだね」
「……ああ」
「結構オファー来てるらしいよ?無理してないといいなぁ」
以前から、注目されていた女優だけど今は並じゃない。
「…そう…だな…」
何か嫌な予感がした。
あいつが…傷つけられる、そんな気がした。
そして、その予感は的中することになる。