Drop Piece
「…なんで、こんな」
利央がギュッと拳を握って泣きそうになっていた。
たとえ、この話が真実だとしても。
こんな下劣な記事で世間に曝す権利なんて、あいつらにはないはずだ。
すっげえ腹が立って、悔しくて。
どうしたらいいか、なんてわからないけれど。
「わり、今日の仕事…あと何だっけ」
「雑誌の撮影…が……二本」
琉が眉間に皺を寄せながら答える。
「…何時から?」
「なんか機材がどうのこうので遅れてるみてぇ。特殊なカメラ使うらしいから少なくとも…四時間はかかんじゃね?」
四時間。
「壱流、どうしたの?」
「……」
どうしたら…いい?
「…壱流」
琉に肩を押され、ソファに沈む。
「……琉」
「俺ね…思ったの」
静かに目を伏せて話し出した琉をじっ、と見つめた。