Drop Piece



「みかんは…俺たちにとって大切な…存在だよ」


晴は頷き、利央は天上を見上げて目を閉じた。



「初めて…俺が……大事だと思った女の子だよ」


誰も動かない空間を琉の声が揺らす。



「利央だって、晴だって……もちろん壱流だって…そう思ってるでしょ」

「俺は…っ!!」

「違う…って言い切れる?」



知ってた。

何かがおかしいことに。


あいつの演技がすごくて、頭にあいつが残ってる…と、そう思おうとしてた。



ただ、あいつから利央の香水が香ってきて苛立ったのも。

あいつの口から晴を呼び捨てで呼んでるのを聴いて面白くなかったのも。

あいつと琉飛が連絡を取り合ってるのを知ってざわついた心も。



全部全部、気のせいで、間違い。

そう思おうとしてた。



俳優とスキャンダル出しても。

雑誌で男性モデルと絡んでても。

CMで俺が見たこと無いような顔をしても。



…関係ないはずだ。



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