Drop Piece



「離し…てっ」


腕の中で、暴れまわる光を押さえつける。



「一人で泣かねえなら、離してやるよ」

「泣いてないもん!!」

「嘘つけ、めちゃくちゃ顔が不細工なんだけど」

「もとから…っ、こうゆう顔なの…っ!!」



再び暴れまわる光が勝手に足を絡ませてこけたため、必然的に俺も光と一緒に光のベッドに倒れる。



「……ってえ…」

「……っ」


まるで押し倒したような体勢になり、下にいる光に視線をやる。



「…泣いてんじゃねえかよ」

「壱流の視力が悪…いっ…んだよっ」

「往生際わりぃな」



じゃあ、ボロボロ瞳から溢してるその滴は何なんだよ。




「誰にも…っ、見せたくなかったのに…っ」

「……」


俺は黙って光の隣に寝転がる。



「こんな…弱いとこ、…っ見せたくなかったのに!」



こんな時に思うのは不謹慎かもしれない、けど、やっぱり光の泣き顔は…綺麗だった。


顔をぐちゃぐちゃにして、涙をボロボロ溢してるのに、綺麗だった。



「あたしが…望んだ生活なのに…っ」



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