Drop Piece
再び光を抱え込むと、今度は光も背中に腕を回してきた。
「朝、起きて…っコンビニ行って…記事を読んだの」
「ああ」
「…記事は…っ、どうでも…よかったの…っ」
「ああ」
ぎゅう、と強く抱き着いてきたから答えるように抱き締め返した。
「ただ…、その帰りに…っ待ち伏せしてた記者さんが……っ」
呼吸が荒くなってきた光の背中を撫でてやる。
「“このマンションにお一人で住んでるんですよねえ。帰ったら、独りきりになるんですねえ、人気女優も。…まあ、あんな両親持ったら仕方ないでしょうけどねえ”って!…っ“高崎光の汚点なんですかねえ?あの両親”って!!“やっぱり、親の愛を知らない方が…泣きの演技上手くなるんですか?”って!!」
一気に言った光は、息を荒くして俺の胸元に顔を寄せた。
…ダメージくらわして、情報聞き出そうとしたのか。
溢れ出てくる怒りがおさまらず、手を力一杯握り締める。
まだ、両親の正体がはっきりとしていない今、光からの情報は喉から手が出るほど欲しいだろうな。