Drop Piece



「あたし…っ頭、真っ白に…なっちゃって、…何も…言えなくなっちゃって…っ、そ…っそしたら!!」

「…何て言われた」

「“普通、貴方ぐらいの歳の女優さんとか俳優さんはねえ、親がいるから、辛いことあったら頼れたりするんだろうけど、君は独りだもんねえ。誰も…守ってくれないねえ。ずっと、独りだもんねえ”」



“小さい頃からずっと一人だった”という、あの言葉。

この家に感じられる寂しさ。



その言葉が、どれだけ光を傷付けたか、きっと想像を絶するものなんだろう。



「一人で頑張ろう…って!!お母さんたちに頼るのはやめよう…って!!決めたのは…あたし…っなのに!!この世界に入った時から…決めたの……っに!」

「……ああ」

「ほんとは、……っ寂しかった!仕事で失敗しちゃった時とか、上手くいかない時とか、傍に…いてほしかった…っ」

「……」

「でも…っ、あたしを待ってるのは、この冷たい静かな家だけ…なのっ」




いつかの、光の言葉を思い出す。

“もう…帰っちゃうの?”




あの時は深く考えなかったけど、今やっと分かった。


光なりの、小さなSOSだったんだ。





< 241 / 340 >

この作品をシェア

pagetop