Drop Piece
「だけど…っ、寂しいだなんて…っ周りの人に言ったら…迷惑だから!!」
言えないの、言っちゃダメなの、と呟いて、あとはしゃくりあげるだけだった。
お前はさ、いつもの笑顔の裏にどれほど一人で過ごした夜があったんだよ。
「光」
「……っく、…ふ…ぇっ」
「お前の、本当の気持ち言ってみろ」
「……っや」
胸元に顔を埋めているから、表情が読み取れない。
「俺が…傍にいてやるよ」
「!」
「誰も守ってくれない?上等だよ、……俺が守ってやる」
「いち…っる」
こんなドラマでも言ったことないような、言葉言わせてんだからよ。お前も本心さらけ出して責任取れよ。
「一人で、眠りたくな…いっ」
「ん」
「おはよう、のない朝を迎えたくな…いっ」
「…ん」
ようやく光が顔を上げた。
「一人に…しない…で…っ」
「言えるなら、最初から言えよ。ばーか」
「いち……るっ」
壱流、壱流と子供のように泣く光を強く、ここにいる、と伝えるかのように抱き締めた。
「寝ろ、…光」
「いなく…なっちゃ…」
「いなくなんねえよ、ずっといるから。寝ろ」
そう言うと光が、花が咲いたように笑うから。
「いちる、……あいさつ、して?」
ぐらりと心が揺れた。
「………おやすみ」
いなくなんねえよ、ずっとここにいるから。