Drop Piece
「電話したのかよ?」
席についてクロワッサンを一口。その言葉に光は顔を曇らせた。
「松井さん、心配…してた、迷惑かけちゃったな…」
泣きそうに俯きそうになる光の額にミルクティーが入ったカップをこつんとぶつける。
「!」
「無理すんな、って昨日言ったばっかなんだけど」
「……うん」
頑張りすぎなんだよ、ばーか。
「お休み、三日間貰ったんだけど、そのあとのスケジュールは殺人的だって…」
遠い未来を見るかのように力無く笑う光に少なからず同情した。
「…やべ」
「どうしたの?」
マネージャーとかに連絡いれてねえ。
携帯を開くと。
「…わお」
五十件に及ぶマネージャーからの着信とメール。
いつかのストーカー女(モデル)を彷彿させる。
リダイヤルすると1コールも鳴らない前に電話に出た。
『壱流っ!?』
鼓膜、破れんぞ。