Drop Piece



「電話したのかよ?」


席についてクロワッサンを一口。その言葉に光は顔を曇らせた。


「松井さん、心配…してた、迷惑かけちゃったな…」


泣きそうに俯きそうになる光の額にミルクティーが入ったカップをこつんとぶつける。


「!」

「無理すんな、って昨日言ったばっかなんだけど」

「……うん」



頑張りすぎなんだよ、ばーか。




「お休み、三日間貰ったんだけど、そのあとのスケジュールは殺人的だって…」


遠い未来を見るかのように力無く笑う光に少なからず同情した。




「…やべ」

「どうしたの?」


マネージャーとかに連絡いれてねえ。



携帯を開くと。


「…わお」


五十件に及ぶマネージャーからの着信とメール。


いつかのストーカー女(モデル)を彷彿させる。



リダイヤルすると1コールも鳴らない前に電話に出た。



『壱流っ!?』



鼓膜、破れんぞ。



< 246 / 340 >

この作品をシェア

pagetop