Drop Piece
…なんて心の中では暴言を吐くものの、渋々携帯の通話ボタンを押した。
「はい、もしも」
『壱流!?ちょ、jamの振り付け分かんねえんだけどおおおおお!!』
キーン、という音と共に響き渡る晴翔の声に、きっとあたしの鼓膜は逝っちゃっただろう。じんじんする…。
「あのね、晴。壱流は…」
『Bメロんとこでバクステに集まるんだよな!?俺、メンステから走んだけど!!間に合わねえ!!』
「だから、晴…」
『琉が“早めに壱流に無理なら無理って言うんだよ”って言われてさ!!』
「ちょ、は…」
『無理だ!!』
人の話聞いてぇぇぇえぇ!!
必死に壱流にアイコンタクトを送るも、壱流様は総無視でございます。
「壱流ぅぅうぅぅ」
『壱流ぅぅうぅぅ』
あたしと晴の声が混ざり込んで、見事なハモり具合。
それを、この世の塵かのように見つめる壱流はいくら演技だとはいえ、あたし(美音)のことが大好きな人には見えない。