Drop Piece
ばっ、とCDのジャケットを見るとさっきまで目の前にいた人たちが写ってた。
「これは彼らの最新のシングルかしら。『珍しくしっとりとした曲になりました』って書いてあるわ」
もう一回最初から流して、目を閉じる。
優しくて
柔らかくて
耳をなでるような言葉が綴られてる歌詞。
広く、深く、響き渡るような歌声。
「こ……こんなに綺麗な歌が歌えるのに」
「彼らも思ってるんじゃない?面倒臭い女って」
それ笑顔で言う言葉じゃないよ…!!
「…お互い様ってこと…?」
「そうね、でもその溝をどうやって埋めるか、それが貴方の力の見せ所じゃない?」
その溝をどうやって埋めるか…。
「……頑張る」
ガッツポーズをすると、また声をあげて笑われた。
「その意気よ、光っ」
あの捻くれ集団を改心させてやるんだから!
「よし、頑張るよっ」
「頑張って、光!!」
「負けないよ!!」
「負けないで!光!!」
「証明するよ!!」
「証明してみせて!光!!」
いつのまにかあたしの応援になってる車内の雰囲気。でもそんな盛り上がりオーラが終わるのはすぐだった。
「今なら何でもできそう!?」
「もっちろん!」
「疲れてない!?」
「元気100%っ」
「よし、働きましょう!」
「へ」
「収録三本!行くわよー!!」
「お………鬼ーっ!!」
やっぱり閻松井さんは甘くなかった。