Drop Piece
書かれた番号のダイヤルを押す。
「……よーしっ」
耳元に呼び出し音が響く。
『もしもし?』
「あ、えっと高崎光のラジオのテレフォンコーナーですけど」
『うそ!私が当たったんですか?』
溌剌とした女の人のようで、明るい声にあたしもついテンションが上がる。
『わー!本当ですね!ラジオに私の声が流れてる!!』
「おめでとうございまーすっ」
すると隣で琉飛くんがあ、と声を洩らした。
「え、どしたの?琉飛くん」
『琉飛がいるんですかっ』
「し…知り合い?」
電話と琉飛くんの顔を交互に見る。
琉飛くんはいつもの顔で「母さん」と呟いた。
「え!?」
『こんにちは、琉飛の母です』
まさかのゲストのお母さん!?
呆然としてるあたしから電話を奪い琉飛くんが話しだした。
「母さん、元気?」
『勿論!!今日ちょうど買い物行っててゲストが誰か聞けなかったのよ!!しかも貴方光ちゃんのラジオにでるなんて一言も言ってないじゃないっ』
「一気に喋るからよくわからないけど俺は元気だよ」
この親子の違いを考えてたらいつのまにか二人がバトルしてた。
『私は光ちゃんと話したいの!』
「母さん、母さんのとこ今日夕飯なに?」
『え?今日はシチュー…って違うわよ!私は光ちゃんと…』
「シチューなんだ。母さん、シチュー作るの好きだったよね」
は……話が噛み合ってるようで、噛み合ってない……。