Drop Piece



その後晴翔はギターを弾きながらの練習になった。


「あ、ここは半音下がんのか…」

だんだんとメロディーに近づくのを聴きながらソファに座り込む。

「このドラマ、シリアスなの?」

「まだ台本貰ってねぇからわかんねぇけど主題歌的には結構シリアス風味だな」



「あ、メールだ」

琉飛が携帯を見つめる。


俺と利央の視線はそちらへと注がれた。



ぴぴっと軽く操作し、メールを見たのかいきなり眉をひそめた。


「どうしたんだよ」

「……誰かな。この人」



画面を見ると見事にハートマークばっかりで埋め尽くされてる。

文の最後らへんに名前がかいてあった。


「んー、琉がこの前一緒にやった舞台にこんな感じの女優さんいなかった?」

俺も記憶の隅にこの女優の顔があった。


「……いた。……気がする。でもメアド教えてないのに」

「どっかから聞き出したんだろ。関係でも持ちたかったんじゃねぇの?」


琉飛がうーん、と唸り、携帯をほっぽりだす。


「返事、しねぇの?」

「悪いけど、期待させちゃいけないから」


俺も自分の携帯を見つめ、溜め息をついた。


どこで仕入れたのか知らない奴らからのメールに電話。


…うぜぇ。


「あー…俺もだぁ」と利央も顔をしかめた。


「一日に五回も食事なんてできないよ…」

「旅行とか…暇ねぇから」

それぞれのメールに飽き飽きする。

ここまでして俺らと関係を持ちたいのかよ…。



「撮られたらまた怒られちゃうね…」

ついこの前、利央が撮られたばっかだ。さすがに社長が恐ぇ。



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