Drop Piece
外にでたらさすがに通行人とかの視線が気になって離してくれるかな、って思った。
「水沢くん?」
「利央ー」
「はい?」
「水沢くんじゃなくて、利央っ」
絡めてくる指が強くなる。
水沢くんがこっちを向き、悪戯っぽく笑った。
「や、そうじゃなくて、手…」
「利央って呼ばなきゃ返事しないよーっ?」
そんな無茶苦茶なっ!!
アイドルスマイル全開で思わず顔が赤くなる。
「利…央、手離して?」
「やーだっ」
えええええっ!!
あたしの今の緊張の意味はっ!?
利央はあたしの手をひき、どんどん歩く。
「あっ!」
利央は何かを見つけたようにあたしとつないでない方の手をあげた。
グレーの車が近づいてきて、利央が窓をこんこん、と叩くと中から人が顔をだした。
「峰ちゃん、ちょっと送ってくれたりしないっ?」
「いいよ、利央の頼みだしな」
「ありがとーっ!ほら、光ちゃん乗って!」
促されるまま乗ると、さっき峰ちゃん、と呼ばれた人が目を丸くしていた。
な…なななんかしたかなっ!!
「高崎光ちゃんとっ!?」
「峰ちゃん、はーやーくー」
「俺も高崎光ちゃんとデートしてぇっ!」
………これ、デートなのっ!?