Drop Piece
降ろされたところはカフェの前。
車内でも握られ続けていた手はいまだに離れることがない。
「利央ぉぉぉ、光ちゃんとどうやって知り合ったんだ!?」
「ひーみつっ!!」
「やっぱりスタッフじゃ、光ちゃんと仲よくできないよなぁ…」
がっくし、というのが似合うぐらい落ち込んでいる峰松さんの近くに寄る。
「あの…峰松さん?」
「っ!?」
利央も不思議そうにあたしを見る。
「あたしなんかでよければ仲良くしてくださいっ!」
そう言って繋いでない方の手を差し出した。
「光ちゃ…っ!」
峰松さんの伸ばしてくれた手は虚しく空中で停止。
だって。
「利央っ!?」
「じゃー、峰ちゃんっ。ばいばーいっ」
手を引っ張られ、あたしは今利央の腕のなか。
ちょっ!利央くん!?アイドルが道の真ん中で何してんのーっ!!
そんな心の叫びも届かず、あたし達はカフェの中に入った。
カフェにしては珍しく、個室があるみたい。
「すごいねっ!初めて来た!」
「俺のお気に入りなのっ!マスターっ」
コーヒーを煎れていた男の人がにこにこ笑いながら、来る。