Drop Piece
「利央」
「いつもの部屋空いてる?」
「あぁ、ゆっくりしていきなさい。…と、初めまして。マスターです」
会釈されたので急いで返した。
でも……マスターです…って…。
利央に引っ張られ、お店の奥へと入っていく。そして一番奥のステンドガラスを縁取ったドアの前で立ち止まった。
そこで利央は初めて手を離してくれた。
ドアノブに手をかけ、軽くお辞儀。
「お先にどーぞ?お嬢様」
ちょっとだけ、どきっとしたのは内緒で中に入る。
「……わぁ…っ」
中はちょっと薄暗いけどプラネタリウムみたいに天井が輝いている。
おっきな赤いソファに黒いテーブル。そのサイドに青白い光を零すライト。
「びっくりした?」
「うん…大人っぽいね」
ソファに座るとフカフカすぎて、びっくりした。
「マスターがねー、俺の誕生日に作ってくれたのっ!」
マスターすごい!!
「ShiNeのメンバーとここで集まったりするんだ」
「そうなんだ」
「バラードの歌詞とか書きやすそうでしょ?」
もう一回部屋のなかを見回す。
…ムードあるもんね……。