Drop Piece
とさ、と利央もあたしの隣に座った。
「ほら光ちゃんのドラマの主題歌もここで書いたんだよ」
「そうなんだ」
この部屋であんな綺麗な言葉が生み出されていくんだね。
「何食べたい?」
メニューを渡され、じっくりと上から下まで見る。
「俺、渡蟹のスパゲッティと紅茶にしよっかなっ。すごい美味しいんだよっ?」
「じゃぁ、あたしもそれがいいなーっ」
利央は頷き、サイドテーブルに置いてあったベルを鳴らす。
ちりん、と可愛らしい鈴の音が響いた。
「わ…っ、それで聞こえるの?」
「この部屋、完全防音だから聞こえないけど、これはセンサーが反応するみたいっ」
ハ…ハイテク…っ!!
ほんとに一分も経たないうちにウェイターさんが来てくれた。
「利央くんっ久しぶりだな!!あれ今日はメンバーは?……ってえぇっ!?」
あたしを見て目を丸くするウェイターさん。
…この展開、慣れたかも…。
「うわー、うわー、うわー、光ちゃんじゃんっ!!」
「こんにちは」
ぺこりとお辞儀すると、慌てて返される。
なんか恥ずかしいなぁ…。
「ほら、困ってるでしょっ!早くわーたーりーがーにーっ!あと紅茶ねっ」
「わかったよ!待ってろ!」
嵐が去ったようにいきなり静かになった。