Drop Piece
ボス VS オヒメサマ+壱流+
今の時刻、六時五十分。
場所、Amore前。
…んで、俺、普通に来てんだよ。
高崎光と七時にこの店の前で待ち合わせた。あいつがNGだしたからだけど。
何普通に来てんだよ、俺。
さっきまで事務所でPVのコンセプトについて、ばばぁが話してたのも用事がある、って抜けてきたし。
“用事”って……。
帽子を深く被り直し、ポケットに手を突っ込む。
この店は、隠れ家的な場所だから人があんま通らねぇし、通行人とかにばれたりはしてねぇんだけど…。
最近、記者がよくうろついてんし撮られたら今度こそばばぁに殺される。
つか俺が普通に待ってる時点でおかしい。携帯を開き、時間を確認。
六時五十八分。
俺が先に来て待つとか今までねぇし。
………。
……。
…。
素直に待ってる俺が気持ち悪く、足を反対方向へ向ける。
「…馬鹿じゃね、俺」
帰路へと向けた足をすすめ、帰ろう、と思った瞬間だった。
「白羽壱流ーっ!!」