いつも待ち合わせをしていた、あの公園に着く。

「やっぱ冬じゃ蕾もないか。
今年は桜見られないだろーなー。」

その言葉にぎくりとする。

「なっ何言ってんの!」

「茉莉恵はさ、日本人は何で桜が好きか知ってる?」

「え?」

「もののあはれって言うんだけどさ。
桜って最後は散っちゃうじゃん。
日本人は、桜が散るからこそ咲いている姿に美を見出すんじゃないかな。」


急に何を言い出すんだろう。


「それってさ、人の命に似てない?」

「えッ・・・。」

「桜も人も散り際が一番美しいんだよ。」

「そっそんな縁起悪いこと言わないでよ。」

大介君は笑顔だった。


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