「ここ、ここ」

そう言って入ったレストランは、

高校生にはまだ早い、少し高そうなところだった。


・・・?


大介君の考えていることが分からず、様子を窺がう。

ウエイトレスの人に案内され席に着くと

大介君は、メニューを見ながら私に食べたい物を聞いて注文していた。

料理を待っている間、耐え切れず言ってしまった。

「振るんだったら気なんか使わないでよ。」

「えッ・・・。」

大介君は驚いた顔をしている。

「1ヶ月も会ってくれないで、
こんな高そうなレストラン入って、意味分かんない!」

泣かないと決めていたのに目に涙が溜まる。

私の涙を見て状況を理解したのか、大介君の表情が変わる。

「ごめん。」

「・・・謝んないでよ。」

堪え切れず涙が溢れ出てくる。

「もうさいあ・・・」

「違うんだよ!
これッ。」

と言って持っていた紙袋を渡される。

顔を上げると大介君の笑顔があった。

「見てみて。」
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