青瓶奇譚
純情SunSet
ぼくは
かすみの後を歩いていた
夕暮れは
ぼくとかすみの街の
いろいろな場所を
順番に夜に変えてゆく
一面にグラデーションのかかる天球の
青く見えているあたりは
青空に見せかけて
実は夜の闇への抜かりない準備で
刻々と色調を暗くする木の幹や
葉の茂みは
ただ黙って夜の来訪を
受け入れている
黒い山の端に帰ってゆく
雁の群れや
昼間輝いていた川面のせせらぎも
やはり黙って闇に身を委ねるしかない
それは
ぼくら人間にしても同じだと思う
少なくとも
こうして夕闇の中を
ふたりで歩いている瞬間は