ねこ笛日記
2003年3月のある夜…

今夜もすごく寒い。3月になったからと言っても…


春はまだ遠くて、カレンダーの上だけの春…


夜には、冷たい風も吹き抜けます…


今夜も冷たい風が吹きつけて、私の顔も痛い。
手も冷たくなり、動きが鈍くなっている…


それでも私は、草むらにいて、二匹が来てくれるのを待っていた…


やがて、コンちゃんが来て座った。私との距離は2メ-トル位、ずいぶんと近くになったもんだ…


エサの袋を投げてやると、 それを横に置いてじっと私を見ている…


すぐには山へ帰ろうとは
しない… 何故?


そこへシロがやってきました。この頃では白猫をそう呼んでいました…


シロちゃんは私に擦り寄って甘えます。
「ミャ-ン、ニィャ-ン」 甘い声で鳴きます…


『私だけのエサよ!』 そう聞こえます…

しかし、キツネはまだ- 座ったままだ。
その時、私は「あっと〃」 言う思いで気がついた…


コンちゃんは知っていたのだ。私のポケットには、
もうひとつのエサが入っていることを…


何と賢いキツネさん…


私はポケットのエサのキャットフ-ドを一握り袋に入れて、投げた…


すると、コンちゃんは、 それを食べ始めたのです。

そして、どうしたかというと、食べ終わると、先にやっていたチクワの入った袋を口に、くわえて走り去りました…


私は感心してしまい、ポカン!として、見とれていただけ…


しかし、そのうち猫のシロちゃんが、早くちょうだいと、言って私の脚の間に頭を突っ込んだ…


「ごめん!シロちゃん… まだようさんあるよ」

そう言うと、エサの袋を置いてやりました…


シロちゃんは、それをくわえると、山へ帰っていきました。後ろ姿がすごく
しんどそうに見えた
にゃあ-ん…


もうすぐ、生まれるのだ。 地面にお腹がくっつきそうになっている…


無事にいてくれたらと… 祈るばかりだ。
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