流れ星のキセキ
親友の高原が自殺した。

俺は何も出来なかった。

高原が悩んでいることにすら気づけなかった。

何で自殺なんかしたんだよ。





「宮坂君」

放課後、玄関までの道のりを歩いていると背後から呼び止められた。振り向くと白衣を着た女性がこちらを見て立っていた。確か今年新採用された保健室の先生で、カウンセリングも担当していると誰かが言っていた気がする。名前は君島と言ったか。

「もし悩んでることがあるなら――」

「ありません。失礼します」

心配そうに聞いてくる先生の言葉を遮り背を向けた。

どうやら俺は高原が死んでからこの先生に目を付けられているらしい。ことある毎に話し掛けられる。俺はそこまで思いつめているように見えるのだろうか。

「……流れ星」

「え?」

先生が呟いた言葉に思わず振り返ってしまった。

「今日は流れ星がよく見えるそうよ」

そう言って先生は微笑んだ。



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