別れ道
いつまでもこのままでいいのかと思いながらも二人でいる時間が少しずつ増えてきた。何回目のデートだったろうか…

「先輩は寂しいときってどうしてますか?」

寂しいとき?そんな事なんか近頃考えた事もなかった。困って黙っていると

「私、会えなくなるのが寂しくなってきました」

そう言って、隣に座りながら遠くを見つめていた。
なんか体中が熱くなってきた。

「先輩、わた…」

そう言い切る前に抱き締めていた…


どれくらいの時間そうしてただろうか、とても長い時間に感じた。

「私、小さい頃こうやってよくお母さんの心臓の音聞いて寝てました」

不意に話だした声は眠そうだった

「このまま少し寝ていいですか?」

胸に耳をあてながら眠りにつくまでそっと抱き締めていた。

「先輩の音、ずっと聞いていたい」

寝言?わかんないけど、こうしている時間が幸せだった。
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