別れ道
映画からの帰り、内容に対して共感し合ったり不満言い合ったり楽しかった。

「もう帰らないとですね」

時間を気にしたのか言いにくそうに切り出してきて

「こんなに1日が早いなんて初めてです」

同じ事を感じた。もっと時間がほしい…今という時間を止めたくない。

「ちょっとだけならいいですよ」

海へ行かないか?なんて気取ってみた。真っ暗で波の音しか聞こえない。自分が無になりたい時に行く海へ…

波と二人の足音しか聞こえない道を歩いていく。
いつの間にか背中を追うように歩いて…
ずっと見つめていたかった。もっと近くに感じたくて…
手を繋ごうって言いたくて名前ばかり呼んではためらって…

「どうしたんですか?」

ただ呼んでみただけ、そうとしか言えなかった。

好きになっていた。抑えられないくらいに愛しはじめて―

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