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その日の夜、橋を渡った。

毎日見ている、当たり前の風景。

でも、どこか違って見えた。

そうだ。川の水が多い。

なみなみと、流れてゆく。

白いような、黄色いような、街灯の光を、

きらきらと反射して、

穴のあいたあたしを、まるで空想の世界へいざなうように。

毎日見ている風景が、今だけは夢の世界に見える。

ゆったりと、でも、どこか急いで流れている水は、

だれも見ていない時に、こっそりと、

海へ流れていきたいように見えた。

「大変なんだね。」

生まれてはじめて、この川をいとしく思った。
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