ザルエラ
「・・・・・・子ども?」
帰宅した彼に、あたしは冷静な口調で告げた
「うん・・・たぶん二ヶ月くらいだと思うんだ」
出来るだけ柔らかな口調で話す
こういう時、男の人は混乱してしまうものなのかもしれないし・・・
「マジかよ!?」
彼が大きなため息をつく
慌てているのが目に見えてわかった
落ち着かせようと、あたしは笑顔のまま、優しい口調で
「今日ね、病院に・・・」
「堕ろせよ?」
彼があたしの目を見る
それは今まで見た事がない、怖い表情だった
「ガキ育てる金なんてねぇし。それに俺、まだ結婚とかするつもりねぇから」
< 28 / 32 >

この作品をシェア

pagetop