ザルエラ
平日のせいか、新幹線は自由席でも座る事が出来た

あたしは窓際の席に座り、流れる景色を眺めた

移りゆく都会の景色たち

もう、この風景を見る事はないだろう・・・

アパートはすでに引き払った

あたしはこれから、故郷に帰る

(どんな子が生まれてくるんだろう?)

 
― 混血

封ヶ崎の人間と、そうでない者との子ども・・・
自分が知る限り、一人もいない

「あなたは、選ばれた子どもなのよ」
穏やかな笑みを浮かべ、呟いた


穏やか・・・

そう

いま、自分はとても穏やかな心境だ

これが「母親になる」という事なのか
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