僕は先生を愛してます


「じゃぁな」


僕は先生の所に向かった。


その背後で七海は僕の後ろ姿を瞳で追っていた。


「難しい問題作ってきた?」


先生に近づき話す。


「もちろんよ」


先生は自信ありげにクスッと笑う。



その笑い、いつまで続くの・・?


と聞きたくなる。


だって、勝つの僕だから。



「じゃぁ、小テストを始めまるわよー。小テストだからと言って簡単って事はないわよ?普段のテストのように時間は50分。では始めてね」


先生の言葉で一斉に手が動き始めた。



―なんだ。


―簡単じゃん。



案の定、僕の手はスラスラと動いた。



たまに先生を見る余裕だって、あった。


見ても目なんて合わないんだけどね。



だけど、僕は満足だった。





「はぁーい!ストップ!後ろから集めてきてね」



「やばくねっ?」

「なにあの問題?」

「全然出来なかったし」

「俺、解けたの1問」

「あたしなんて0点かもしれない」


..なんて言う言葉が教室中に飛び交っている。






「じゃぁ今日の授業はこれで終わり!」


「先生ー」



僕は先生を呼んだ。



大声で呼んだのが珍しかったのか、クラス全員が僕に注目した。


だけど、そんなのは気にならない。


「今日中には返して下さいよ」


僕は笑みを浮かべながら言った。


「わかったわ」


先生も笑っていた。



お互いが勝ったと思っていたのだろう。
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